なぜ重要なのか理由を知る
リスクマネジメントが重要な理由
介護現場のリスクマネジメントとは
介護現場におけるリスクマネジメントとは、すなわち利用者さんの身の安全を守ることにあります。些細なケガやトラブルは、高齢者にとっては今後の生活に大きな影響を及ぼします。足のケガを理由に外出がおっくうになり、他の身体機能まで低下してしまう可能性があります。また、誤飲などを理由に自分自身の機能に対する自信をなくし、認知症が進行してしまうこともあります。そのような事故やトラブルを未然に防ぐ方法や、対応策を考えるのがリスクマネジメントです。
介護職員を守るリスクマネジメント
介護の現場での事故やトラブルは、利用者さんだけでなく職員にとっても精神的なストレスになります。少子高齢化がすすみ、介護サービスを利用する高齢者は年々増加しています。そうしたなかで、事故やトラブルに関する訴訟も増加傾向にあります。例えば利用者さんの転倒事故に対して、施設管理が甘かったとして、施設側におよそ3400万円の賠償金の支払を命じた事例もあります。こうした訴訟は職員の心に大きな傷を残すだけでなく、施設の信頼をも失いかねません。また、利用者さんやその家族からのクレーム対応にもリスクマネジメントの重要性があげられます。介護職員のなかには利用者さんやその家族から、暴言や暴力を受けたことがあるという人も少なくありません。これらをそのままにしておけば、職員の仕事に対するモチベーションは下がり、サービスの質の低下にもつながります。質のよい介護サービスを提供し、職員が気持ちよく働くことのできる環境を作るという点でも、リスクマネジメントの重要性が認識されてきているといえます。
組織的な対応が必要な理由
利用者さんと介護職員を守るリスクマネジメントには組織的な対応が必要です。事故やトラブルを未然に防ぐためには、職員同士で利用者さんの情報を積極的に共有しなければなりません。また事故やトラブルがおきてしまった場合も、さらなるトラブルを防ぐために、記録を残しておくことも大切です。文章の記録にとらわれず、写真や録音データなど、詳細に記録しておくことが大切です。記録を残すことで、同じ事例をおこさない抑止力になります。しかし一方で、事故を未然に防ぐことやクレーム対応ばかりを考えて、利用者さんの尊厳を傷つけるようなことは許されません。転倒事故を防ごうとするあまり、利用者さんの身体の自由を奪ったり、利用者さんの希望を無視した介護サービスをおこなったりするようなことがあってはなりません。利用者さんの尊厳やニーズを尊重した、適切なリスクマネジメントに取り組んでいくことが大切です。
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